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野尻湖グリーンタウンを基地にリゾートを満喫しましょう!

元GIC駐日代表手掛ける2000億円スキーリゾート、妙高に高級ホテル

  • 米アスペンやカナダのウィスラー、ニセコと競合する高級リゾート
  • すでに斑尾スキー場や、東京ドーム75個分の土地を取得済み

豪雪地域として知られる新潟県の妙高高原。シンガポール政府系投資ファンドGICの日本支社代表を務めたケン・チャン氏(56)は、今後数年間で約14億ドル(2080億円)を投じ、この地を米国のアスペンやカナダのウィスラーなどと肩を並べるような高級スキーリゾートに変貌させることをもくろんでいる。

チャン氏がGIC退職後の2019年に立ち上げた不動産投資ファンドのペイシャンス・キャピタル・グループ(PCG)は、円安も追い風に2年前から周辺の土地を買い進めており、26年までに高級ホテルや数千人の従業員のための住宅などを建設することを目指している。

  世界の観光地図に妙高の名前が記される可能性を秘めたこの計画は、日本の住宅用不動産も含めて現在5億ドル近くを運用するPCGの橋頭堡(ほ)となるプロジェクトだ。

  チャン氏は都内のオフィスでのインタビューで「私はいつも、このプロジェクトをかばんに入れてシンガポールに持ち帰るようなことはできないと言っている。これは恒久的なものだ」と語った。

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斑尾高原スキー場
Photographer: Lisa Du/Bloomberg

  チャン氏と日本のつながりは深い。日本に移り住んでいたシンガポール人医師の家に生まれ、6歳になるまで日本で過ごした。南カリフォルニア大学を卒業後、日本、そしてシンガポールに戻り、IT(情報技術)や財務の仕事に携わった。

  2000年代初頭、GICは日本国内の不動産の入札で落札できない状況が続き、日本文化に精通し東京での勤務経験を持つシンガポール人を求めていた。04年、同氏はGICの駐在員として日本に赴任すると、住友商事元副社長の佐々木新一氏などの企業幹部との関係を築いた。

  11年にチャン氏と出会い現在はPCGの顧問を務める佐々木氏は、「非常に賢く投資家を集めている」と評価する。同氏は「海外の機関投資家と個人投資家を3分の1ぐらい入れて、それに加えて日本の銀行とか、それから地方銀行も結構入っているようだ」とし、バランス良く投資を受け入れている印象との見方を示した。

Patience Capital Group Founder and CIO Ken Chan
ケン・チャン氏
Photographer: Ore Huiying/Bloomberg

二つのファンドを運用

  GICで約20年間勤務した後に退職してPCGを設立後したチャン氏は現在二つのファンドを運用している。日本の観光特化型不動産第1号ファンドは350億円を調達し、その多くはスキーリゾート事業のための待機資金となっている。

  PCGはこのほか運用資産残高400億円の日本レジデンシャル・オポチュニティ・ファンドで首都圏の住宅資産に投資。さらに、現在年15%のリターンを目指す二つ目のレジデンシャル・ファンド用に250億円の資金調達を行っている。

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  しかし、今後のPCGの成否は、パウダースノーでスキーヤーを魅了する妙高のスキー場にかかっている。同社は12月までに、世界的な大手ホテルチェーン10社以上が参加した入札の落札者を少なくとも2-3社発表する予定だ。初期段階の今後3-4年間だけでも5億ドル近い投資を必要となる。チャン氏は、その後のいくつかの段階を経て、このリゾートを世界的な高級ブランドの店舗が並ぶショッピング街や、世界の一流レストランで埋める構想を描いている。

  PCGはすでに妙高高原周辺に東京ドーム約75個分に相当する350ヘクタールの土地を購入したほか、昨年には新潟県と長野県にまたがる斑尾高原スキー場も買収した。チャン氏は、リゾート計画の図面開きながら、現在は従業員向け住宅の建設用地取得について交渉中であることを明かした。

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斑尾高原スキー場の県境を示す看板
Photographer: Lisa Du/Bloomberg

  観光客が東京から車で約4時間、または新幹線で約2時間かけて訪れ、スキーを楽しんだり、暖かい季節にはハイキングをしたり、子どもをサマーキャンプに送り出すような光景を思い描いている。少なくとも三つの段階を経て、高級リゾートとして一定の規模に達するには約10年、約2100億円が必要になると予想している。

  リスクもある。日本生産性本部の統計によると、日本のスキー・スノーボード人口は2000年代に入ると急減し、20年には1990年代後半のピークから約75%減少した。そのため、外国人観光客が頼みの綱となる。しかし、富裕層を中心とする観光客と、彼らに対してサービスを提供するために必要な労働力の流入を、地元の人々がどう受け止めるかは未知数だ。

地域住民への配慮しっかり

  長野県庁観光誘客課の若林憲彦課長は「観光振興の観点から新たなスキー場の開発計画は歓迎したい」とした上で、「地域住民から理解を得ることへの配慮はしっかりしていただきたい」と訴える。「スキー場への訪問者数が年々減少していることは明白」なものの「一方でインバウンドのお客さんはもっともっと増える」とみる。県にとって重要な冬季の雇用を生み出すスキー産業の活性化は「うれしい」と明かした。

  斑尾高原スキー場の麓の北陸新幹線飯山駅周辺でレストラン「グッド・マウンテンズ」を経営する兼平曜輔さんは、外国人観光客の増加による地域の活性化を期待している。「斑尾はこれまで薄利多売の安いツアーが中心だった」と言う。「海外のファンドによる買収で海外からのお客さんが増えるのであれば非常に楽しみ」と話した。

  大型リゾートの開発による観光客の増加により、雇用の創出や住民の増加、税収の増加などにより地域経済への貢献が期待される。そのため、チャン氏は周辺住民の理解も得られると確信している。国内の多くの地方自治体と同様に妙高市の人口も過去30年間で減少した。

  世界でも広く知られるスキーリゾートとなった北海道のニセコが、現在の姿に至るまでには約19年を要したと話す。妙高高原では初期段階から長期的な計画を策定し必要な土地の多くをすでに所有していることから、より早く発展させることができると述べた。「私が設立した会社は私よりも長く存在するものになる」とし、「これは次世代の人々のためになる」と胸を張った。

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https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-10/S2BC3EDWLU6801