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ブログ空き家等に係る媒介報酬見直しへ ~草間会長の国土審議会での提言等を踏まえ~
2024年7月1日から
我が国の総人口が少子高齢化に伴い12年連続で減少するなか、総務省が発表した2023年の住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は900万戸にのぼり過去最多を更新し、5年前の調査から51万戸、30年前と比較し倍増しています。総住宅に占める割合は13.8%に達して7戸に1戸が空き家となり、増加傾向に歯止めがかからない状況が続いており、改めて抜本的な対策とともに宅建業者が果たす役割に期待が寄せられています。
そうしたなか、空き家等に係る宅建業者の媒介報酬(告示)が見直されることになり、本年7月1日に施行予定となりました。宅建業法では宅建業者が媒介、代理の依頼者に請求できる報酬額に上限を設定していますが、空き家等の流通促進が喫緊の課題となっている一方、ビジネス化に課題があることから報酬の上限について見直されたものであり、本会の草間時彦会長の国土審議会での提言がこのたびの改正に繋がりました。
第56回審議会土地政策分科会企画部会で草間会長は「低未利用地の適切な利用・管理を促進するために創設された税制特例措置について、要件の一つとなっている所有者不明土地対策計画を策定する自治体が増加すれば利用促進に繋がる」と指摘するとともに「管理不全空き家について、建物の除却による固定資産税の住宅用地の特例解除に伴い固定資産税が上がることを指摘し、建物の老朽化による危険防止および流通促進を目的に所有者が空き家を解体した場合には、固定資産税の住宅用地の特例を継続するような施策が必要である」と提言しました。それらとともに、不動産仲介では媒介報酬規制により手数料の上限が定められていますが、地方の低未利用地については物件価格が非常に低く、人件費やガソリン代等の諸経費を差し引けばビジネスとして成り立たないなか、地域のために赤字覚悟で取引している実情等を報告し、報酬制度見直しの必要性を訴えました。
それに対し国交省の川合不動産業課長は「流通できうる低未利用地を市場に出し、民間の力を借りるなど市場の機能を活用することが重要とした上で、媒介報酬について、市場の機能が働かない実態があればきちんと聞いて前向きに考えていきたい。不動産流通の担い手である事業者の力を借りながら、市場の力を最大限に活かしていく方策を考えていきたい」と応えました。
それらを踏まえ、今般の見直しでは 売買取引について、依頼者の一方から受けることのできる報酬額は物件価格に応じて一定の料率を乗じて得た金額を合計した金額以内となっていますが、低廉な空き家等(物件価格が800万円以下の宅地建物)について、当該媒介に要する費用を勘案し、原則による上限を超えて(30万円の1.1倍が上限)報酬を受領できるものとされています。
また、賃貸においては、依頼者の双方から受けることのできる報酬の額の合計額は、1ヶ月分の借賃に1.1倍を乗じた金額以内が原則ですが、長期の空き家等の場合の特例として、当該媒介に要する費用を勘案して、貸主である依頼者から、原則による上限を超えて(1ヶ月分の2.2倍が上限)報酬を受領できることとなりました。
47都道府県10万会員を抱える全宅連として、今回の見直しが会員への支援とともに空き家流通促進の一助となることが期待されます。
https://kanagawa-takken.or.jp/news/33096/
改正の対象となる売買価格は?
仲介手数料改正の対象となるのが、低廉な空き家等の売買・交換の媒介等となります。低廉な空き家等とは具体的には売買代金(消費税を含まない)又は交換にかかる価格(消費税を含まない、交換にかかる宅地又は建物の価格に差があるときはいずれか高い価格)が(決定)万円以下の土地又は建物を指します。空き家問題を解決するためにされた今回の政策ですが、低廉な空き家「等」とされているため、現地調査等の費用が必要な建物だけではなく現地調査等の費用が必要な土地も含まれ、また空き家でなかったとしても(決定)万円以下の不動産であれば対象となり得ると解されます。
国交省
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html#7.2
宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001750143.pdf