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お知らせ「非居住者*1」または「外国法人*2」が日本国内に所有する不動産を売却(賃貸)する場合
令和7年2月26日
「非居住者」または「外国法人」との取引における源泉徴収の取扱いについてお知らせ
本件につきましては、首都圏等において、当事者及び宅建業者(媒介人)の不認識・不案内によりトラブル
に発展する案件が散見されております。
下記本文をご確認の上、ご注意くださいますようお願い申し上げます。
尚、本案件は税務上の問題であり、宅建業法外であるため、詳細は税理士・税務署にお問い合わせ下さい。
【本文】
「非居住者*1」または「外国法人*2」が日本国内に所有する不動産を売却(賃貸)する場合、所得税の申告
漏れを防ぐために、その不動産を購入(賃借)し代金を支払う者が、所得税の源泉徴収相当額を税務署に支払
う義務がある。
*1 非居住者とは?
原則として日本国内に住所がなく、かつ現在まで引き続いて1年以上日本国内に居所がない人のことをいう。
海外に1年以上の長期転勤中の日本人もこれにあてはまる。
*2 外国法人とは?
日本国内に支店を有するかどうかに関らず、国内に本店や主たる事務所を有しない法人をいう。
【売 買】非居住者による不動産売却で源泉徴収が必要となる
非居住者または外国人法人から不動産を購入する場合、購入者は個人、法人にかかわらず源泉徴収の義務があ
るが、個人が買主の場合下記の条件を満たす場合は、源泉徴収を行う必要はない。
・不動産の譲渡対価(売買代金)が1億円以下
・購入者が個人で、その不動産を「自己または親族の居住用」に供すること
この制度の源泉徴収税(所得税及び復興特別所得税)の税率は、譲渡対価(売買代金)の10.21%相当額。
具体的には、不動産の購入者は、売買代金を支払う際に、その金額の89.79%相当額を非居住者(売主)に支払
い、10.21%相当額を源泉徴収税として、その不動産の譲渡対価(売買代金)を支払った月の翌月10日までに
銀行や郵便局などで納付する。
【賃 貸】非居住者による不動産貸付で源泉徴収が必要となる
海外に居住する外国人が日本国内に所在する不動産から賃貸収入を得る場合は、その20.42%を源泉徴収され
た上で、確定申告を行う必要がある。個人が自己又はその親族の居住の用に供するために借り受けている場合
を除き、事業者や法人が事業目的で非居住者や外国法人から日本国内にある不動産を賃借して、日本国内で賃
借料を支払う者は、所有者に対して賃借料を支払う際に所得税と復興特別所得税を源泉徴収しなければならな
い。
(トラブル事例)
買主がこの源泉徴収義務を認識しないまま売主に代金全額を支払ってしまい、その後に税務署への二重払いを
強いられたにもかかわらず、売主からその返還を受けられずに深刻なトラブルとなり、売買を仲介した宅建業
者もこれに巻き込まれることがある。
【参考特約例】
1.売主及び買主は、売主が所得税法に定める非居住者(または外国法人)に該当することから、所得税法及
び復興財源確保法に基づき、標記の売買代金(ただし、建物にかかる消費税等相当額を除いた金額。以下同
じ。)の10.21%相当額である金○○○,○○○円を、買主が売買代金から源泉徴収することを確認する。
2.買主は、標記の手付金から源泉徴収額金○○,○○○円を、標記の第1回中間金から源泉徴収額金○○
○,○○○円を、標記の残代金から源泉徴収額金○○○,○○○円を、それぞれ控除して売主に支払う。
3.買主は、前項により源泉徴収した金員を、所得税法等所定の期日までに税務署に申告納付する。